すぷりんぐぶろぐ

今、頬に感じる風を楽しめれば…

2009年8月のブログ記事

  • 非日常の視点に同調する

     8月分の読書記録を整理した。  伊坂幸太郎の短編を続けて三作読んだことになる。  『チルドレン』は前にも書いたように、陣内というキャラクターに魅せられてしまったが、次の『終末のフール』(集英社文庫)と『死神の精度』(文春文庫)は、設定自体がなかなか面白かった。  前者は三年後に小惑星が地球に衝突... 続きをみる

  • かつてあった時代への憧憬

     心の中で、「ああ、そうそう」と何度つぶやいたことか。  『秋田 遊びの風景』(男鹿和雄著 徳間書店)     懐かしさにどっぷりと浸ることができた画文集だった。  ジブリの絵職人といわれる著者が60年代の「遊びの風景」「食の風景」を書き、描いている。著者は私より三つ年上であり、まさしく同じ時代を... 続きをみる

  • お得な用語感覚

     プレジデント2009.9.14号に、ちょっと面白い座談会が載っている。  どれがおトク!?「高コストパフォーマンス」座談会  座談しているのは三人。あの森永卓郎は知っているが、他の金子、藤川両氏はよく知らない。著書はあるようだし、肩書きも「流通ジャーナリスト」「生活デザイン代表取締役」なのだから... 続きをみる

  • 身体が求めてやまない声

     『「詩のボクシング」って何だ』(楠かつのり著)を読み直している。  著者が中高生の頃の体験が綴られている第二章に、印象的な言葉がある。バスケットボールをしていてライバル校の選手の高速シュートに憧れを持つ件である。こんなふうに書かれている。  高速シュートを自分のものにしたいと、身体が求めていたの... 続きをみる

  • 骨に振りまわされて休みが終わる

     夏休み終了。  「受信の夏休み」にすると決めたのはいいが、その充実度はどうだったろう。  読書もそれなりに、研修会参加等もそれなりに、このブログに書き留めていたように収穫があったと思う。しかし、もう一つガツンとしたものが欲しかったなあという思いも残っている。  目指す積極的な受信のためには自らの... 続きをみる

  • みっともねえという感覚

     立川談春が再び来るというので、いそいそと秋田市まで出かけた。  今回はまったくの独演会で、正味2時間強たっぷりと堪能することが出来た。  その良し悪しを語るほどの通ではないので、細かくは言えないが、ほぼ客席全体を見渡せる後方位置から見たときの観客の集中度、特に二席目の「妾馬」の後半は凄かったなあ... 続きをみる

  • 詩のボクシングからのジャブ

     先月だったろうかNHKの教育テレビで放映していた「詩のボクシング」の特集を録画しておいた。  番組表で見つけるたびに視聴してきたつもりだが、この録画したものはかなり初期のもの、噂に聞いた?ねじめ正一と谷川俊太郎のタイトルマッチだった。  もちろん、面白くないわけがない。  好き嫌いはあるだろうが... 続きをみる

  • 脳の気持ち良さを作り出す

     『子どものための頭がよくなる読み薬』(武田利幸著 声の教育社)  著者は学習塾の経営などで著名な方で、本県いや本町の出身者でもある。  以前出した著書もなかなかおもしろかったが、子ども向けのこのような本も出されていたとは知らなかった。  なんと本の帯には「文部科学大臣推薦」の文字が大きくあり、推... 続きをみる

  • 秋田語の衰退と学力向上

     『珍版 秋田語の教科書』(加藤隆久著 三文舎)という本を、行きつけの書店で見つけた。  著者は秋田市在住で、私より三歳年上であるようだ。  年代的には収録された言葉全てをわかってもいいはずだとは思うが、そこは地域ごとの言語の違いも多く、2割ほどは使ったことがないなあと思うものもあった。  この類... 続きをみる

  • 鬱蒼とした森の入口で

     大学時代に少しばかり詩をかじっていたことがあったのだけれど、愛読するのはもっぱら平易な表現をする詩人ばかりで、その意味で吉本隆明は齧りたくても歯が立たないという印象ばかりが残っている。  それが糸井重里によって誘われ、対談集やら単行本などいくつか読めるようになった。しかし、今回またその言葉に接す... 続きをみる

  • 心の黒板を広げよ

     『診察室でする治療・教育』(横山浩之著 明治図書)  弘前での鍛える国語教室の時に買い求めた本である。講話の中心だった教育目標の分類が興味深かったので手にしたのだが、それだけに留まらないさすがの内容だった。  「軽度発達障害に医師が使うスキル」が副題として挙げられている。しかしその内容は、乳児期... 続きをみる

  • 無敵だぞ、陣内

     小説の中の人物に惹かれることはしばしばあるが、こいつにはまったく参った、という感じである。  『チルドレン』(伊坂幸太郎著 講談社文庫)に登場する陣内という男だ。  5つの短編連作集は、それぞれに主人公というべき話者が違っているが、そこに深く関わるのが陣内であり、その言動が素晴らしく面白い。  ... 続きをみる

  • お盆休みの戯言か

     「多面的な見方」とか「複眼的な思考」とか、よく自分も口にはするのだけれど、それにしたって何か大きな河に流されている棒切れの範囲のこと…そんなふうに思う時がある。  今、感じている、考えている自分は確かにここにいて、立ち上がることも声を出すことも頭をかきむしることも出来るのだけれど、... 続きをみる

  • ダトヘバ、ナジス

     いかにローカルとはいえ、出版社の名前さえヒットしなかった。  書名の検索では、わずかに県内のとある議員が読んだと記録しているブログが1件。  そういう図書に目が向く自分も、いかにローカルでマイナーかがわかる。  そこはさておき、なかなか面白い発想ではないか。  『おらほがもし100人の村だとへば... 続きをみる

  • 医師の制止を振り切って

     ああ、とうとうやってしまった。  無意識にそれに手が伸びてしまったのだ。  かかってきた電話に応答している間に、受話器を持たないもう一方の手が、知らず知らずのうちにそれに伸びて…、  そしてあれだけ医師に止められていたのに、何のためらいもなく、つまり本能の従うままに、それを身体の内... 続きをみる

  • 鍛国研津軽…その参

     午後からの野口先生の二つの講座は、何度か聞いているものである。  だから、つまらなかった…ということにはもちろんならない。  明快に、ユーモアを入れて、それでいて厳しく奥深い言葉が提示される、その度に新鮮な発見がある。  だから、私は「繰り返し聴く」ことの大切さをいつも肝に銘じてい... 続きをみる

  • 鍛国研津軽…その弐

     横山浩之先生による「野口先生の授業を医師の目から分析・解説」は非常に興味深かった。  かなり以前仙台での会だったと思うが、ほんの少しそうした解説を伺った記憶がある。しかし今回は十分に時間をとった解説であり、かつ十分に納得のできるものだった。  Bloomの教育目標分類をもとに語られたが、この三領... 続きをみる

  • 鍛国研津軽…その壱

     野口芳宏先生の5年生対象の授業。  「大造じいさんとがん」の最終場面である。  飛び込みしかも夏休み真っ盛りにわざわざ登校してきた子どもたちが相手である。教室は参観者であふれ、気温もだいぶ高い。45分集中を切らさずに学習を続けることもかなり困難のように感じた。  その中で子どもたちがほぼ集中をき... 続きをみる

  • 仕掛け、仕掛けられ

     木曜日に秋田大学の阿部昇先生を迎えての講座を持った。  文学教材の指導を中心に2時間以上もじっくりとお話を聴くことができたが、先生が盛んに繰り返していた言葉の一つに「仕掛け」ということがあった。  講座が終わり、少し雑談したときに「先生が使われた『仕掛け』という言葉は、単なる『伏線』という意味と... 続きをみる

  • 「断景」という言葉が語る

     『星に願いを~さつき断景~』(重松清著 新潮文庫)  「彼らが生きた1995年から2000年までの六年間の、それぞれの五月一日を取り出す」形で物語が進行する。彼らとは、タカユキという十代の若者、三十代のヤマグチ、そして五十代のアサダ。連作短編的と言えないこともないが、結局三人の人生がどこかで交わ... 続きをみる

  • 難点に立つということ

     時々でいいから、自分の仕事や生活について俯瞰してみることでポジションを確かめておきたいと考える。  その意味で難解さはあったが、刺激的であり、かつ示唆的な本だった。  『日本の難点』(宮台真司著 幻冬舎新書)  五章だての構成からなる本書は、「これ以上はあり得ないというほど、噛み砕いて書かれてい... 続きをみる

  • 夢でもし逢えたら

     勝手に師匠の一人と決めている糸井重里が、こんな本を出していることを申し訳ないが全然知らなかった。  『夢で会いましょう』(村上春樹・糸井重里著 講談社文庫)    もう二十年以上も前の発刊である。内容はカタカナの外来語をテーマにショートショートを競作?しているもので、エッセイ風のものあり、言葉遊... 続きをみる

  • 日曜日の吉田修一

     先週日曜の旅行先は長崎。  吉田修一の文庫本を読もうと決めていた。長崎出身の作家という単純な理由からである。  『日曜日たち』(吉田修一著 講談社文庫)  別に長崎が舞台となっているわけではなかったが、連作短編集という構成も登場する人物もなかなか興味深く、ぽんと読みふけってしまった。  全篇を読... 続きをみる

  • 上向きの比喩を見つけよ

     『1分で大切なことを伝える技術』(斎藤孝著 PHP新書)   久々の齋藤孝本である。  本屋では少し立ち読みをするが、食傷気味というところもあって、しばらく読んでいなかったと思う。今回は「1分」に惹かれて思わず購入した。  内容に入る前に、まず「まえがき」の冒頭の一文に立ち止まる。  言葉は、チ... 続きをみる