一年後の大相撲を語れば
7月18日、去年の今日は名古屋で大相撲を観戦していた。今、TVに映る新しいアリーナではなく、旧い愛知県体育館である。一人横綱として頑張った照ノ富士が決定戦を勝ち抜いて結局最後の優勝を飾り、貴景勝が大関陥落となった場所。若手の台頭が目覚ましい年だったが、ある意味象徴的な出来事が多かった。
今場所の面白さはまた格別であり、序盤の五日間ではまだ先の見通しは語れない。しかし、予想できたこともあり、素人があれこれ頭を巡らす楽しみもまた大相撲人気を支えている。中継の一つの楽しみは「解説」にある。北の富士さんはもういないが、他の方もそれなりの見方、語り方があって興味深く聴いている。
三日目は湊川親方(貴景勝)。独特の相撲理論があり他者からの評価も高い。連続出場記録更新を続けている玉鷲について「玉鷲関の強さは、身体よりも心だ」と言い切る。初日二日目と続けて、物言いがつき行司差し違えで白星連勝となった訳をそう語った。最後まで諦めない心が結果を呼び込む…それは必然だろう。
四日目、元嘉風の中村親方が、連敗の弟子嘉陽にどんなアドバイスをしたのかとアナウンサーに訊かれ、「疲れる相撲をとってこい」と答えたことに唸った。動きの少ない点についてそんなふうに表現したのは素晴らしい。勝敗がどうであっても、それが評価の観点であれば明確だ。結果は結果として言い聞かせられる。

それにしても「若い力」である。おそらく次の一年後は番付も大きく変わっているだろう。凄まじい勢いの複数の力士のうち、必ずや新しい大関昇進者がいるはずだ。それに絡む中堅勢、ベテラン勢の中で誰が力を維持し、伸ばしていくのか。常人からすれば過重な身体を巧く操るには、それに見合う精神しかない。