人生の絵本は青色

この作家は単行本では初めて読む。書名に惹かれて手にとったが、小説であることは承知していた。全5作品の短編集。それぞれに「絵本」が登場し、大きな役割・意義を持つ。これらの絵本は実際にあるのか…と思うのは、その登場のさせ方が絶妙だからだ。同じようにネット検索をしている人もいて、微笑んだ。
作品で描かれている主人公の女性たちが、それぞれに関わりを持つ「絵本」に共通性を見出せば、それは「問い」と言えるのだが、そもそも「大人の絵本ブーム」という言われ方の本質はそこだろう。平易で端的な言葉遣いと絵や写真に心揺さぶられるには、齢を重ねた経験が作用する…少し身も蓋もない言い方だ。
書名からは「青」の持つイメージ、意味を考えてしまう。最終篇で登場する作家が「月も青--- 月が照らす湖も青--- 月を見上げるわたしたちも青---」と語る場面が印象的だ。人はもしかしたら「赤」く生まれ、青く死にゆくのかもしれない。どれだけ多彩な「青」を表現して全うするか、人生の絵本の出来が決まる。