自分を狭くしない手立ては…
『高橋源一郎の飛ぶ教室 ~はじまりのことば』(岩波新書 2022)
2022/12/11「世界がひとつになりませんように」と題されてミュージシャンの峯田和伸の言葉が紹介されている。「ネットってさ、最初のころはすごい楽しみで(略)ワクワクしたんだけど、今はそんなにワクワクしない。広がると思ったのに、どんどん狭くなっちゃって」…今まさに、同様の実感を抱えている。
確かに何かを検索していけば、延々と世の中にある様々な知識を得ることができる(ように見える)。しかし実はその履歴によって打ち返される情報が膨大に表示され、引っぱり込まれる気配を見せる。今回の選挙関連もまさしく「狭くなる」感覚が日に日に募り、息苦しいほどだった。その反省を生かさねばと思う。

これは、2021/7/2「自分のからだの主人になる」と題し、高橋がダイエットについて語った時のことばに集約される。ダイエットを続けたことで体に関心を持てたと評価しこう括った。「いちばん大切なのは、自分を自分以外のなにかに支配させないことなのかもしれません」…身体の遣い方を通し精神を見つめる。
2021/12/3「いつもの道を逆向きに歩く」とも通ずる考えだ。高橋がいつも仕事場に通う道を、ある時逆回りで歩いてみたら、同じものが「まるで魔法がかかったように」違う風景に見えたと語っている。景色も人もしかり。毎日同じように見ていては、接していては、本当の姿を捉えたとは言わない…心したい点だ。
そう言えば、昔(今は?)3年生か4年生へ作文・詩の書かせ方の定番の一つとして「入学時の目線になって」があった。自分も指導したことを憶えている。学校中を腰を低くして歩きながら見えてくること、感じることを材料に文を綴らせた。驚き、発見があり、楽しく鉛筆が動いていた。応用の効く実践法だろう。