高齢者夫婦は「あれ」で共感しあう

学校に勤めていた時から、国立国語研究所の発行する『新「ことば」シリーズ』という冊子には関心を持っていて、購入したものも含めて結構読んでいた。今回、ネット書店でたまたま見つけたこの新書は、そのシリーズ17,18,19から抜粋したもので、これも本当に興味深かった。初めて知り、想ったことをメモする。
携帯電話Iモードの時代からスマホまで世界中に広がっている「絵文字は日本発祥」…これは、なるほどだ。今やemojiという英語にもなっている。日本人が創造するに長けている分野だ。文中にあるように「文字と絵がともに競い合うように一つの世界を表現する絵画や文学の伝統」は、見事な流れとなっている。
大陸から取り入れられた「漢字」の文化を非常に巧みに使うこととも関わりがある。その影響はいわゆる「キラキラネーム」にも現れている。あっけにとられるような名前は、漢字のない国では考えられないようだ。それより驚いたのは、ハンガリーは「公的機関による〈ふさわしい命名リストがある国〉」だそうだ。
多様性とはもはや日常用語だ。しかし安易に口にする前に、もっと多民族文化・社会について理解した方が…と思わされる。勝手に子どもの名前を決めてもいいことが当然の「自由」のように考えてはいけない。「名づけ」は以前からの密かなテーマ?でもあるが、これは独創性や個性とは違った観点に目を向けたい。

最後に、高齢者夫婦世帯で頻出する「あれ」という語について。「これ」「それ」「あれ」という語を「近称」「中称」「遠称」と呼び、対象との距離で区分することは承知しているが、「あれ」は「話し手と聞き手の共有知識を指し、そのことによって2人の共感を高める」という。物忘れ同士の日常会話も役立っている(笑)。